泌尿器科
手術支援ロボット da Vinci Xi(ダヴィンチXi)のご紹介
特色
泌尿器科は尿路(腎、尿管、膀胱、尿道)、男性生殖器(前立腺、精巣(睾丸))、さらに内分泌臓器(副腎、副甲状腺)のあらゆる疾患に対し、手術を中心とした治療を行う診療科です。
正確、迅速、親切をモットーとし、必要最小限の通院日数で診断をつけ、できる限り患者さまのご希望にあわせた入院、治療を実践しています。
日本泌尿器科学会認定専門医7名、さらにこの中で指導医4名(うち日本内視鏡学会認定医4名)というきわめて経験豊かなスタッフがチームを組んで診療にあたっています。
また、あらゆる泌尿器科領域の疾患にも対応できるようにしています。
年間手術件数も426件前後と大阪近辺では有数の手術件数を誇っています。
対象疾患と診療内容
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悪性腫瘍の治療
この治療では臓器の機能をできるだけ温存した方法を行っています。
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前立腺癌
年々、日本でも増加傾向であり、男性の癌の約10%を占めるといわれています。
早期発見を心掛けていますが、当院では根治手術にも尽力しています。
まず、前立腺癌を発見する為には、「前立腺針生検」という検査を行います。脊椎麻酔で行いますので、痛みもなく受けていただけます。
手術による治療については、昨年は前立腺全摘手術を46件行い、入院期間は2週間たらずという実績を備えています。
最近ではDa Vinti(ダヴィンチ)によるロボット支援下手術を中心に行っており、術後の疼痛も少なく負担は軽減されています。 -
膀胱癌
浸潤癌でも可能であれば膀胱温存を目指した治療を積極的に行っています。一般的には膀胱全摘手術を勧められる癌でも、放射線と抗がん剤の組み合わせにより、膀胱を残すことができるケースはかなりあります。しかしながら75歳までの比較的体力のある方には、膀胱全摘手術+回腸新膀胱/回腸導管/尿管皮膚瘻をおすすめしております。なお、2019年7月からはロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除術も開始しており、小さな傷かつ出血量も少なく安全に手術を受けていただけるようになっております。
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腎癌
腎癌に関しても、臓器の温存を目指しており、昨年の腎癌の手術件数の約半数を腫瘍だけを摘出し腎機能を温存する核出術を行っています。輸血はほとんど必要なく、入院期間は10日前後です。
また2017年12月よりda Vinci (ダヴィンチ)によるロボット支援下での部分切除術も開始しました。
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前立腺癌
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その他の泌尿器疾患について
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前立腺肥大症
手術法に関してはすべて内視鏡による経尿道的手術を行っており、開腹手術はありません。輸血が必要になる事もほとんどありません。
特に最近ではホルミウムレーザーによる前立腺核出術(HoLEP)を行っており、大きな前立腺でも出血が少なく、低侵襲で手術を行うことができます。年間で20例以上と大阪近辺でも有数の手術件数です。 -
腎結石・尿管結石
患者さまの約8割は入院せずに外来治療を行っています。また、可能な限り結石形成の原因精査と予防治療も行っています。
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腎移植
当院の腎センターならびに大阪大学泌尿器科の移植チームと協力して腎移植に取り組んでいます。
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尿失禁
根治手術のほか骨盤底筋の電気刺激による失禁治療装置も備えています。
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前立腺肥大症
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低侵襲手術
前立腺癌、腎癌、腎盂・尿管癌、副腎腫瘍は可能な限り腹腔鏡手術による低侵襲治療を行っています。
日本泌尿器科学会の腹腔鏡技術認定医が4名おり、優れた技術と経験を有しています。 -
関連治療施設/装置
- 結石破砕装置(Storz SLX-MX)
- 放射線治療施設
- 日帰り手術センター
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泌尿器科での手術支援ロボットの治療状況
前立腺癌のダヴィンチ手術
前立腺は内腺と外腺に分かれ、前立腺癌は外腺で発生することが殆どです。この外腺には勃起神経があり、従来の前立腺癌の手術ではこの神経の切除も止むなく行われてきました。また出血もしやすく輸血が必要になることもありました。しかしダヴィンチを用いれば、ロボット支援により神経の剥離や血管保護が行い易くなります。勃起機能の温存ができる可能性が高くなり(※個々の症例によっては神経切除も行います)、出血量も大幅に抑えることができます。患者さまには、より安全に手術を受けていただくことができます。当院では2016年4月にダヴィンチXiシステムを導入しており、年間50~60例の患者さまに安全に手術を行い、良好な成績をあげております。
腎癌のダヴィンチ手術
腎臓は血液から尿を生成する重要な臓器です。その性質上、血流が豊富なため腫瘍の切除手術(腫瘍だけを取り除く手術)に際して阻血(一時的な血流の遮断)をしなければなりません。この阻血時間が長くなると、腎機能低下を招くので、腫瘍の確実な切除と丁寧な縫合を素早く行う必要があります。
従来の腹腔鏡手術は小さな創(低侵襲)で手術を行うことができる反面、この切除と縫合に時間を要するため、適応になる症例が限られていました。しかしダヴィンチを用いれば、7cm以下の腫瘍の切除から縫合まで迅速かつ細やか手術することができます。根治性を保ちながらも、低侵襲で且つ、腹腔鏡手術の短所を補うことができるのが、このダヴィンチを用いた手術の最大のメリットで、当院では2017年12月から本術式を導入しております。膀胱癌のダヴィンチ手術
膀胱癌は早期の表在性膀胱癌と進行した浸潤性膀胱癌の2種類に分類されます。表在性膀胱癌は一般的に経尿道的切除という尿道からの内視鏡手術で切除できますが、浸潤性膀胱癌は抗癌剤治療、放射線治療や膀胱全摘術+尿路変更術といった大掛かりな治療が必要となります。特に膀胱全摘術は泌尿器科手術のなかでも比較的出血量が多く、時間のかかる最も侵襲の大きい手術の一つです。そのため、これまでの開腹や通常の腹腔鏡手術は高齢の体力の弱い方や合併症のある方では受けていただくことができないケースもありました。しかしダヴィンチ手術による膀胱全摘は短時間で、少ない出血量で行うことができるため2019年7月から当院でもこの術式を導入しました。
治療実績 診療実績
患者数(2023年度)
- 外来患者延数
- 19,284人
- 外来患者月平均
- 1,607人
- 入院患者延数
- 6,390人
- 入院患者月平均
- 533人
手術件数(2023年度)
疾患名 | 件数 |
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腎癌根治的手術 |
15件 (内 腹腔鏡手術7件 ロボット支援手術8件) |
腎盂尿管癌根治的手術 |
8件 (内 腹腔鏡手術8件) |
腎移植手術 | 3件 |
経尿道的膀胱腫瘍手術 | 133件 |
膀胱全摘手術 |
7件 (2020年6件、2021年3件、2022年5件) |
前立腺癌根治的手術 |
26件 (内 ロボット支援手術26件) |
経尿道的前立腺手術 | 7件 |
経尿道的レーザー前立腺手術(HoLEP) | 23件 |
認定施設
日本泌尿器科学会認定教育施設
スタッフ体制
医師名 | 役職 | 専門 | 資格 |
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研究内容
- 尿路悪性腫瘍に対する機能温存治療
- 尿路悪性腫瘍に対する集学的治療
- 内視鏡手術の臨床
- 尿路結石の治療と再発予防
- 腎移植の臨床
連携医療機関の先生方へ
泌尿器科的な救急に関してはいつでも受けておりますので、時間外でも救急外来を通してご連絡ください。
夜間の緊急手術や急ぎの手術などにも可能な限り対応させていただいています。病気の治療に関してお困りの患者さまから相談されたらセカンドオピニオン外来もご利用ください。
なお、医療従事者向け会員登録サイト「m3.com」内にも当科紹介記事を掲載しています。
下記URLよりご参照ください。(※閲覧にはm3会員IDでのログインが必要になります)
https://renkei.m3.com/articles/87