血液内科

血液内科

特色

血液内科では白血病・悪性リンパ腫を代表とする造血器悪性腫瘍や、各種貧血さらに血小板の異常等による出血傾向などの病気を対象としています。いわゆる難病が多いのですが、この分野での治療の進歩はめざましく、これらの病気はある一定の割合で治癒可能となっています。
治療に際しては、まず標準的なものから考えていきますが、血液疾患は無治療で様子を見て良いものから、造血幹細胞移植を含む強力な化学療法を必要とするものまで様々です。
経験豊富な診療スタッフが個々の症例に応じた治療法を検討し、患者さまと一緒になって治療に取組んで行きます。『的確な診断と、適切で柔軟な治療戦略への対応』が当科のモットーです。

血液内科は、地域の診療所や他の病院で、血液検査などの異常を発見され、紹介されて来院される方の比率が高く、高度専門治療を中心に行っています。
外来で血液検査、骨髄検査、エコーやCT・MRI、さらに最近ではPET-CT(主に業務提携している他院に依頼)などの画像診断を実施し、輸血や種々の治療を行いますが、より強力な治療が必要な場合には入院していただいて対応します。
入院治療は無菌個室2床に加えて、無菌ゾーンからなる無菌治療センター内に無菌個室8床を擁し,強力な抗がん剤治療後に起こる高度な白血球減少時の易感染状態に備えております。
また一方で、入院期間を短縮し患者さまのQOL ( 生活の質 ) を重視した、外来での化学療法や放射線治療も積極的に取り入れております。

関連施設:無菌治療センター

対象疾患と診療内容

  1. 各種貧血

    鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血(悪性貧血)、再生不良性貧血、溶血性貧血などがあります。

    • 鉄欠乏性貧血

      日本の成人女性の約一割がこの病気であると言われており、生理、出産、栄養不足、胃腸での鉄分吸収に問題がある場合に起こりやすい疾患です。男性や閉経後の女性では、消化器がんが隠れていることがあり要注意です。

      治療法
      鉄欠乏の原因を究明したうえで、まずその疾患を治療しますが、貧血そのものの治療は、比較的長期間の鉄剤内服(内服不可能なら注射)となります。完全に治しきっておくことが大切です。
    • ビタミンB12欠乏性貧血(悪性貧血)

      赤血球生成に関与する赤芽球が、ビタミン不足で細胞分裂を阻害され、巨赤芽球という、未成熟な赤芽球が増加して赤血球生成ができず(無効造血)に貧血になるものです。

      治療法
      萎縮性胃炎を合併していたり、胃全摘後に生じるケースが多く、ビタミンB12の吸収障害が原因です。まずビタミンの補給を行い、後に鉄剤服用を併用することがあります。萎縮性胃炎には胃がんの頻度が高いため、胃の定期検診をお勧めします。
    • 再生不良性貧血

      種々の原因で骨髄造血機能が低下し、赤血球、白血球、血小板生成が阻害されるものです。

      治療法
      かつてはタンパク同化ステロイド剤を投与するしかありませんでしたが、近年は免疫抑制剤(ATG、シクロスポリン)や、サイトカイン(G-CSF)ならびにトロンボポエチン受容体作動薬も使用することがあります。患者さまがお若くて重症の場合は、骨髄移植の適用を考える必要があります。
    • 溶血性貧血

      赤血球が種々の原因(抗体など)で破壊され、その寿命が著しく短縮してしまい、貧血を生じます。赤血球や血色素自体の先天的な原因によって生じるケースもあります。

      治療法
      免疫的な原因によるものは、副腎皮質ステロイド薬の投与が第一選択薬で、大半は改善します。これが無効の場合には、シクロホスファミド(エンドキサン)やアザチオプリン(イムラン)などの免疫抑制薬が使われます。
      遺伝性球状赤血球症やピルビン酸キナーゼ欠乏症などの遺伝性溶血性貧血では、脾臓を摘出することによって貧血が改善することがあります。
  2. 血液悪性疾患

    急性白血病、慢性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などがあります。

    • 急性白血病、慢性白血病

      白血病は、俗に”血液のがん”ともいわれ、かつては不治の病というイメージの強い疾患でしたが、1980年代以降には、骨髄移植療法が確立されたこともあって、治療成績は大きく改善しました。 骨髄などの造血組織内で、悪性化した細胞群(クローン)が無制限に増殖し、正常の造血ができなくなって、感染や出血により死亡することが多い疾患です。

      治療法(急性白血病)
      化学療法
      抗がん剤を用いる治療方法です。 近年、作用の違う多種類の薬剤を組み合わせた、優れた治療法が確立されており、寛解(悪性細胞が一定以下に減少した状態)率の向上が得られていますが、治療による合併症対策(支持療法)の進歩に負うところも見逃せません。
      造血幹細胞移植
      悪性化した細胞を徹底的に殺す(total cell killing) ためには、大量の抗がん剤が必要ですが、血縁者(特に同胞)にHLA(白血球の型)適合の提供者(ドナー)がある場合には、同種造血幹細胞移植を選択する場合があります。 骨髄を入れ替えてしまう究極の化学療法ですが、提供者の免疫細胞による残存したがん細胞への攻撃も期待できます。拒絶反応とのバランスをコントロールすることが肝要です。

      造血幹細胞移植←(詳細はこちら)

      治療法(慢性白血病)
      慢性骨髄性白血病特有の異常遺伝子(フィラデルフィア染色体:bcr-abl融合遺伝子)による発症メカニズムが解明されてから、分子レベルでの発症をくい止める薬剤が開発されており、比較的副作用も少なく、第一選択と認識されるようになりました(分子標的療法)。現在では第2世代と呼ばれるお薬(タシグナ、スプリセル)を内服していただくことがほとんどで、多くの患者さまでは病状を抑え込むことができるようになっていて、一部の非常にお薬がよく効いた患者さまでは内服を終了しても再発せずに過ごしていただける可能性が出てきています。お薬の効きが悪い場合には同種造血幹細胞移植が必要となる場合があります。
      慢性リンパ性白血病は、日本人には比較的珍しい白血病ですが、病状が進行したかたは抗がん剤の治療を開始すべきであり、有効な薬剤も開発されています。
    • 悪性リンパ腫

      悪性リンパ腫も、”血液のがん”の一つであり、リンパ組織を構成するリンパ節をはじめ、体中のいたるところから発症する可能性があります。初発部位や、悪性(がん)化した細胞の種類、患者さま個人の条件(年齢、病気の広がり具合など)によって予後も変わり、治療法を考えていかなくてはなりません。抗がん剤がもっとも有効ながんとはいえると思います。

      治療法
      複数の薬剤を組み合わせた抗がん剤による化学療法が主体ですが、病気が限局している場合は放射線や外科的切除も考慮します。細胞の種類によっては、抗体療法といって、がん細胞を集中的に攻撃する薬剤も使用でき、これにより治療成績の向上が得られています。年齢が若く、病気が進行してしまっていても、薬剤反応性が良好なケースには、大量化学療法併用の”自家末梢血幹細胞移植”を積極的に行っています。
    • 多発性骨髄腫

      これも血液がんの一種ですが、進行は緩慢なことが多く、検査だけが異常で無症状な状態がかなり長い期間続く場合が結構多いのです。文字通り、骨髄を病変の主体として、リンパ球の一種で、免疫グロブリン(外敵から身を守るため存在する抗体)を産生する形質細胞のがん化により、M蛋白といわれる異常なグロブリン蛋白質が血液中に出現することで気づかれることがあります。多くの外敵と戦わねばならず、多様性が命であるはずの免疫系が破壊されてしまうので、体の抵抗力が落ちていきます。また、骨を弱くするので、年齢不相応な骨粗しょう症、病的骨折(簡単に骨が折れる)などがおこり、骨の痛みがでてきます。異常な蛋白が腎臓に詰まると腎不全に陥ることもあります。痛みや貧血などの症状があれば積極的な治療が必要です。

      治療法
      近年になって治療法が大きく進歩した血液がんです。従来の抗がん剤やインターフェロン製剤に加えてプロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブ、イクサゾミブ、カルフィルゾミブ)、サリドマイドおよびその誘導体(レナリドミド、ポマリドミド)さらには抗体製剤(抗CD38抗体、抗SLAMF7抗体)と使用できるお薬が非常に増えました。骨痛に対しては、骨密度を増加させるビスフォスフォネートや抗RANKL抗体、放射線照射も適用があります。
      若年例では、大量化学療法併用の自家末梢血幹細胞移植を標準的治療として治療計画に組み込むことが適切とされています。
  3. その他の血液疾患

    骨髄異形成症候群(骨髄機能不全で血球減少をおこし、白血病に進展するケースがある)、血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病)、真性多血症や本態性血小板血症などの骨髄増殖性腫瘍などが、よくみかける血液疾患です。

  4. 当科で可能な主要な検査

    • 血液検査・骨髄穿刺/生検・腰椎穿刺
    • 血液腫瘍の遺伝子診断・細胞表面マーカー・染色体検査
    • HLA型検査
    • CT・MRI・エコー・ガリウムシンチ
    • FDG-PET/CT(外部施設に依頼)

治療実績 診療実績

血液疾患の患者さまは、13階病棟を中心に、常時30名程度入院されています。

年間の新入院患者さまの概数

急性白血病
6例
悪性リンパ腫
31例
多発性骨髄腫
7例
骨髄異形成症候群
7例

自家末梢血幹細胞移植(PBSCT)

2023年度は5例です。悪性リンパ腫や多発性骨髄腫を主に対象としています。

同種骨髄移植

当院での造血幹細胞移植は2006年3月に開始し、現在まで(2022年12月末)にのべ78例行いました。

内訳は、
  • 血縁者間同種骨髄移植 17例
  • 血縁者間同種末梢血幹細胞移植 28例
  • 非血縁者間同種臍帯血移植 34例

となっています。難治性の白血病・悪性リンパ腫や、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血などで、造血幹細胞移植の適応がある患者さまには、病状や身体の状態に応じた移植前治療(抗がん剤や全身放射線照射)を用いた移植を考えていきたいと思います。

患者数(2023年度)

外来患者延数
7,128人
外来患者月平均
594人
入院患者延数
8,968人
入院患者月平均
747人
外来紹介率:90.1%

認定施設

日本血液学会認定医研修施設

スタッフ体制

医師名役職専門資格
菅原 浩之すがはら ひろゆき
  • 内科系診療局長
  • 兼 血液内科診療主任部長
  • 兼 一般内科診療主任部長
  • 兼 無菌治療センター長
  • 兼 輸血管理室長
  • 兼 書類センター長
  • 兼 がん診療センター
  • 血液疾患
    (悪性リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群など)
  • 医学博士
  • 日本内科学会
    認定医/専門医/指導医
  • 日本血液学会専門医/指導医
  • 日本造血・免疫細胞療法学会
    造血細胞移植認定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本臨床腫瘍学会暫定指導医
  • 日本輸血・細胞治療学会
    /日本造血細胞移植学会
    細胞治療認定管理師
森川 陽一郎もりかわ よういちろう
  • 血液内科医長
    • 医学博士
    • 日本内科学会認定医/専門医
    • 日本血液学会専門医
    土居 由貴子どい ゆきこ
    • 血液内科医長
      • 医学博士
      • 日本内科学会認定医/専門医
      • 日本血液学会専門医
      • 日本医師会認定産業医
      紀田 侑子きだ ゆうこ
      • 血液内科副医長
        • 日本内科学会認定医
        • 日本血液学会専門医
        久原 甲くはら かぶと
              赤井 奎太あかい けいた
              • 血液内科専攻医
                  三田 和広さんだ かずひろ
                  • 非常勤医師
                      長濱 圭佑ながはま けいすけ
                      • 非常勤医師

                          金倉讓院長も貧血、造血器腫瘍(白血病、リンパ腫、骨髄腫)、血栓・止血異常などの血液疾患の専門医であり、血液内科の一員として診断・治療にあたっています。

                          連携医療機関の先生方へ

                          多血症・貧血、白血球増多・減少、血小板増多・減少やリンパ節腫大、出血傾向など血液疾患に関連することは何でも診ております。診断や治療でお困りの際は、いつでもお気軽にご紹介・ご相談ください。

                          なお、医療従事者向け会員登録サイト「m3.com」内にも当科紹介記事を掲載しています。
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