病理診断科
特色
病理診断科では、各診断科で採取された生検検体、手術材料を詳細に検討し、病理学に基づき、病理診断を行います。病理学とは、病気の仕組みや発生機序の解明を目的とする医学の中の一学問単位です。現代医療では、病理学の先人たちが積み重ねてきた研究成果を病期の診断確定や治療方針の決定に利用しています。
HE染色を施した標本を顕微鏡で検討するオーソドックスな診断法が主体となりますが、免疫組織化学などを活用し、最新の診断状況に対応しております.また細胞診では、液状検体細胞診(LBC法)を導入し、標準化に努めています。
病理検体、標本はバーコードにより管理され、検体取り違えを防止しています。
近年、標準治療がない、または終了した患者様に対して、ゲノム医療が行われることがあります。ゲノム医療では、正確な遺伝子検索のために腫瘍検体を適切に取り扱うことが必要となります。当院では直接ゲノム医療を受けることはできませんが、必要な場合にはスムーズにゲノム医療拠点病院、連携病院に紹介できる様、適切に検体の処理、保存を行っております。
診療内容
病理診断科の担当業務は大きく分けて4つあります。
-
組織診断
生検材料、手術材料から標本を作成し、顕微鏡を用いて観察することにより疾患の確定診断を行います。さらに病変の性状、拡がり、悪性度などを評価します。
必要に応じ、免疫組織化学という手法を用いて特定のタンパクが組織のどこに存在しているかを評価し、より正確な診断や治療薬の選択(コンパニオン診断)に役立てます。 -
術中迅速診断
これは手術中に病変の範囲を評価したり、病変が完全に取り切れているかを判断したりするために、検体を急速冷凍し、短時間で標本を作製・検討する診断法です。
-
細胞診
子宮から採取された細胞、尿や痰に混じる細胞、甲状腺や乳腺を細い針で刺して採取した細胞などを顕微鏡で観察し、がん細胞がないかを調べます。これは細胞検査士と病理専門医が共同して行います。
-
病理解剖
病死された患者様のご遺体を、ご遺族の承諾のもとに解剖させていただき、生前の診断・治療の評価、死因の検索などを行います。
診療実績
2023年度
- 組織診断
- 6108件/年 (うち迅速診断177)
- 細胞診
- 8271件/年(うち迅速診断48)
- 病理解剖
- 7例/年
- 院内臨床病理症例検討会
- 8回/年
認定施設
- 日本病理学会病理専門医研修登録施設
- 日本臨床細胞学会認定教育研修施設
- 日本臨床細胞学会認定施設
スタッフ体制
医師名 | 役職 | 専門 | 資格 |
---|---|---|---|
|
|
| |
|
|
|
臨床検査技師4名(内細胞検査士4名)
連携医療機関の先生方へ
最新の知見を取り入れつつ、がん取扱い規約やWHO分類に基づき、正確な病理診断を行います。
近年は病理検体がゲノム診断、コンパニオン診断に使われる事例が増えていますが、これらの診断のためには検体の適切な処理が必要となります。当院では、日本病理学会が策定したゲノム研究用・診療用病理組織検体取扱い規程に基づき、適切に検体処理を行っています。
現在は精密医療の現場への導入が進んでおり、適切な標本に基づき正確な病理診断を行うことがますます重要となっています。病理診断の立場から、患者様の力になりたいと思います。