
耳鼻咽喉科・頭頸部外科
特色
一般的な耳鼻咽喉科疾患以外に甲状腺を含めた頭頸部に生ずる良性、悪性腫瘍も対象に治療しています。なかでも当科では特に甲状腺・副甲状腺疾患の外科治療に力を入れております。
対象疾患と診療内容
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甲状腺手術
甲状腺手術においては声帯の動きを支配している神経(反回神経)や高い声・力強い声を出すときに大事な働きをしている神経(上喉頭神経外枝)に直接触れる必要があります。
当科ではそのような大切な神経の損傷をできるだけ避けるために、すべての患者さまの手術において神経刺激装置を使用した手術をおこなっております。
また腫瘍が神経を巻き込んでいる可能性が予想されるような難しい手術では電極付きの特殊な気管内挿管チューブを用い、術中に絶えず神経の働きが残っているかをモニタリングしつつ手術をおこなっております。
一部の甲状腺がんの手術では腫瘍が神経に食い込み、やむなく神経を切除せざるを得ない場合がありますが、そういったケースでもその場で神経どうしを吻合・再建することで正常の声に近い状態に戻るよう、できる限りの工夫をおこなっております。最近では1㎝以下の小さな甲状腺乳頭癌(微小癌)の多くは生涯にわたり大きくならず、生命に危険を及ぼさないことが分かってきており、患者さまと相談のうえ手術をせずに慎重に経過観察をおこなうことも選択肢の一つとして積極的におこなっております(ただし腫瘍が危険な位置にある場合やエコーにてリンパ節転移が既に存在する場合、または患者さま自身が手術を強く希望される場合には手術加療をおこなっております)。
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その他
耳下腺腫瘍の治療においては手術が主な治療になりますが、術中に顔を動かす神経を直接触らなければならず、合併症として顔面神経麻痺のリスクを考慮する必要があります。 当科では手術中に顔面神経刺激装置を使用し神経の働きを常に確認しながら手術をおこなっております。また傷跡ができるだけ目立ちにくくなるよう、美容外科でおこなわれるシワ取りの手術で用いられる皮膚切開を採用しております。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の治療では、薬物などの保存的治療の効果が少ない方には従来の手術より痛みや術後の顔の腫れが少ない内視鏡下手術をおこなっています。
慢性中耳炎に対しては、鼓室形成術を行っていますが、鼓膜穿孔が比較的小さい方には、鼓膜穿孔閉鎖術を行っています。
治療実績 診療実績
患者数(2023年度)
- 外来患者延数
- 8,767人
- 外来患者月平均
- 731人
- 入院患者延数
- 2,474人
- 入院患者月平均
- 206人
手術実績(2023年度)
(件/年)
疾患名 | 件数 |
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甲状腺・副甲状腺手術 | 約195 |
内視鏡下副鼻腔手術 | 約50 |
唾液腺良性腫瘍 | 約20 |
認定施設
- 日本耳鼻咽喉科学会研修指定病院
スタッフ体制
連携医療機関の先生方へ
耳鼻咽喉科は五感が集中した領域でありQOLに直結する科です。守備範囲もそれなりに広いのですが、めまい・難聴・中耳炎・副鼻腔炎・扁桃炎など一般耳鼻科疾患から甲状腺腫瘍を含めた頭頸部腫瘍、さらに音声再建など幅広く対応が可能です。
なお、医療従事者向け会員登録サイト「m3.com」内にも当科紹介記事を掲載しています。
下記URLよりご参照ください。(※閲覧にはm3会員IDでのログインが必要になります)
https://renkei.m3.com/articles/113