眼科

特色

住友病院眼科では、角膜疾患、白内障、緑内障、網膜疾患などさまざまな眼科疾患の治療を提供しています。
特に角膜疾患に対する専門的な治療を提供しており、角膜感染症への対応、および角膜移植を行っています。
白内障手術に関しましては、最先端の機械をそろえ、片眼日帰り、入院での片眼手術および両眼手術も多く行っています。乱視用眼内レンズや多焦点眼内レンズにも対応しています。

対象疾患と診療内容

1. 白内障

   加齢に伴って水晶体（レンズ）が混濁する疾患です。治療には手術が行われます。当院では多くの白内障手術を、日帰り（1泊を含む）で行っています。また、全身合併症のある方は、入院にて専門医の管理のもと、安全に手術を受けていただきます。
   より良い術後の視機能を提供することを目指し、以下のような診療を行っています。

   1. 術前検査

      波面センサー

      眼球のゆがみである収差を測定する装置です。現在の見え方を客観的に評価することができ、白内障手術をするべきかどうかの判断や、手術の時にどのような眼内レンズを選んだらよいかが分かります。

      IOLマスター

      眼の長さを正確かつ非接触で測定することができます。この装置の導入により、術後の度数ズレが少なくなり、正確な眼軸長測定が必要となる、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術にも対応可能となりました。

   2. 眼内レンズ

      上記の術前検査をもとに、術後最善の視機能が得られるよう人工レンズの選択を行っています。乱視を矯正するトーリック眼内レンズや、裸眼で遠方と近方の両方で良好な視力が得られる多焦点眼内レンズ（※1、※2）も積極的に導入しています。

      白内障手術で使用する眼内レンズについて

      単焦点レンズ

      通常、白内障手術で一般的に使用されているレンズ

      トーリック眼内レンズ

      乱視を矯正・軽減できるレンズ

      多焦点レンズ（※1、※2）

      遠方と近方の両方で良好な視力が得られるレンズ

      1. 多焦点眼内レンズは選定療養となります。通常の保険診療の自己負担に加え、多焦点眼内レンズや検査にかかる料金（自費）が必要となります。
      2. 「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術（白内障手術）」は、2020年4月より先進医療から除外されました。生命保険の先進医療特約の対象から外れますのでご注意ください。詳細については、ご契約されている保険会社にご確認をお願いいたします。
   3. 手術設備

      当院では、最新の手術器械を導入することで、2ミリ程度の切開創から眼球に負担の少ない手術を行っています。小切開で手術を行うことで、術後の乱視発生を少なくし、術後の感染症のリスクを減らすことができます。また、手術器具や薬剤も多種にわたってそろえており、手術が難しい患者さまにも、できるだけ安全に手術が行えるようにしています。

2. 角膜疾患

   • 角膜感染症
   • 角膜内皮障害
   • 翼状片

   円錐角膜、角膜不正乱視、遺伝性角膜混濁、水疱性角膜症、再発性角膜上皮びらん、ドライアイなどの様々な角膜疾患について以下のような診療を行っています。

1. 角膜感染症

   角膜感染症に対しては、検鏡・培養検査を行い、原因となる微生物を特定し、それに応じた薬剤を使用します。また、前眼部光干渉断層計(OCT)や前房水PCRによる精査を実施し、病状を正確に把握した上で最適な治療を選択します。病状によっては角膜移植も行います。

2. 翼状片

   翼状片に対しては、角膜に侵入した翼状片を剥離し、異常な結膜および結膜下組織を切除します。当院では、切除部分に他の部位の正常な結膜を採取して縫合する結膜遊離弁移植を行っており、再発予防だけでなく、整容面にも配慮しています。

3. 角膜移植

   当院では、輸入角膜を使用した角膜移植を行っています。現在、移植するドナー角膜は日本国内で不足しているため、アメリカのアイバンクの協力を得て、角膜を輸入することで概ね予定通りの手術が可能となっています。

4. ハードコンタクトレンズ（オーダーメイド）

   円錐角膜や眼鏡矯正が困難な角膜不正乱視には、オーダーメイドのハードコンタクトレンズ処方による視力矯正が有効です。当院では、火曜日午後（原則第2, 4週）にコンタクトレンズ外来（完全予約制）を行っています。

3. 網膜硝子体疾患

   • 糖尿病網膜症
   • 網膜剥離
   • 網膜静脈分枝閉塞症・網膜中心静脈閉塞症
   • 中心性漿液性脈絡網膜症
   • 加齢黄斑変性
   • 網膜色素変性

   などの疾患に対し、光干渉断層計(OCT)による眼底三次元画像検査（※3）やOCTアンギオグラフィー、造影検査、眼底自発蛍光撮影など最先端の装置を用いて確定診断を行い、レーザー治療や薬物療法、硝子体手術など、適切な治療を選択して行います。網膜剥離や眼内炎など緊急の対応が必要な患者さまは、速やかに手術で対応します。

   

   ※3　眼底三次元画像検査
   1. 硝子体内薬物注射

      加齢黄斑変性の患者さまに、血管新生抑制薬（抗VEGF薬）の硝子体内注射を行います。
      繰り返し治療を受けていただくことが必要です。

   2. 光線力学的療法（PDT）

      加齢黄斑変性に対して、光感受性物質を使って行う特殊なレーザー治療です。
      治療後しばらくは、日光を避けていただく必要があります。

   3. 硝子体手術

      硝子体出血、黄斑上膜、黄斑円孔、網膜剥離などの疾患には、眼内に針のように細い手術器具を挿入して手術を行います。当科では、27ゲージ（径0.4ミリ）の器具を使った低侵襲硝子体手術を導入しています。眼内にガスを注入して手術を終えることがあり、その場合は手術後に数日間うつぶせの姿勢をとっていただくことがあります。

      

   4. 網膜復位術

      網膜剥離の手術で、眼球の外側からシリコンのバンドを巻いて網膜を復位させる方法です。

   5. レーザー光凝固（網膜光凝固）

      糖尿病網膜症や、網膜に穴のあく網膜裂孔、網膜静脈閉塞症などの疾患に対して、レーザー光線で網膜を焼灼する治療です。病気の悪化を食い止めるための治療法です。

4. 緑内障

   緑内障とは、視神経の障害により進行性の視野欠損をきたす疾患で、眼圧下降が唯一効果を認められている治療です。日本人では、眼圧が正常範囲でも視野障害が進行する「正常眼圧緑内障」が多いこともわかっています。治療により視野障害が回復することはありませんが、放置すれば失明につながることもあるため、点眼や手術により少しでも進行を遅らせることが大切です。定期的に視野検査を行いながら、視野障害の進行の程度を見ていきます。近年は点眼剤によって十分な眼圧下降が得られる方が多いですが、中には十分な眼圧下降が得られなかったり、急速に視野障害が進行する難治性の患者さまもおり、手術による眼圧下降が必要になる場合があります。

治療実績　診療実績

認定施設

日本眼科学会専門医制度研修施設

スタッフ体制

連携医療機関の先生方へ

角膜

角膜感染症への対応、および角膜移植を含む手術加療を行っています。

白内障

多焦点（3焦点）・焦点深度拡張型・乱視矯正眼内レンズを採用しています。また、片眼日帰り、入院での片眼手術および両眼手術に対応しています。

加齢黄斑変性などの黄斑疾患

治療タイミングを逃さないように、必要であれば当日の造影検査・抗VEGF薬硝子体注射を行っています。

網膜硝子体手術

27ゲージおよび25ゲージの小切開硝子体手術（MIVS）を行っています。

患者さまの視力を維持するには、病診連携が何より重要と考えています。経験豊富なスタッフが揃っており、各種診断機器も充実しています。これらの強みを活かし、質の高い医療を提供することを心がけておりますので、何かご質問やご相談がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。