脊椎センター

脊椎センター

特色

脊椎センターについて

脊椎疾患の多くは変性(加齢変化)により背椎構造が変化し、その結果椎間板・椎間関節・傍脊椎筋群の機能低下や近傍を通過する神経の圧迫によりもたらされます。症状としては頚部痛・腰痛・手足のしびれや痛み・麻痺など多くの障害をもたらし、患者さまの健康状態を悪化させます。
私たちは診察と検査、時には脳神経内科医とも協力してそれらの症状が本当に脊椎に由来するのか、神経の圧迫によって生じているのかなどの診断を行い、患者さまの社会的背景やニーズに合わせた治療方針を立てます。手術は有効な治療ですが、すべての患者さまに手術が必要なわけではありませんし有効なわけではありません。その適応を見極めて患者さまが少しでも本来の健康状態に近づけるようお手伝いをします。当院では安定した従来の手術方法に加え、患者さまの負担を減らすために新しい低侵襲治療にも取り組んでいます。

脊椎センターの特徴

椎間板内治療(ヘルニコア)

2018年から導入された腰椎椎間板ヘルニアに対する新しい治療方法です。局所麻酔で椎間板にヘルニコアという酵素を注入します。ヘルニコアは髄核組織中のプロテオグリカンを分解することで椎間板内圧を低下させてヘルニアによる腰痛や下肢痛を改善させる治療法です。

ヘルニコアの治療を受けられる方へ(←詳細はこちら)

頚部の病気に対する手術

頚椎椎弓形成術

頚椎症性脊髄症、頚椎後縦靱帯骨化症、頚椎椎間板ヘルニアに対し、片開き式椎弓形成術を行い脊柱管の拡大、脊髄の除圧を行います。同時に多くの椎間に対応しやすいのが特徴で頚椎手術の標準的な治療になっています。

脊髄が圧迫され麻痺やしびれが生じます。

頚椎の水平断面図
術前
術後

椎弓を削って持ち上げ、椎弓スペーサー(人工骨)を設置します。術後のCTで脊柱管が広くなっているのが分かります。

頚椎前方除圧固定術

頚椎椎間板ヘルニアや頚椎後縦靱帯骨化症などに対し、前方から侵入し骨を削ったり椎間板を切除したりすることで神経の圧迫を取り除き、骨盤から採取した骨・椎体間ケージ・金属製の内固定材を用いて固定を行います。固定による症状改善も期待できるので除圧だけより有利ですが、固定隣接椎間障害*を誘発することがあります。特に発育性脊柱管狭窄(一般的な脊柱管よりもともと脊柱管が狭い)がある患者さまには固定隣接椎間障害が生じやすくなります。

*固定隣接椎間障害:脊椎を固定することにより固定椎間上下の椎間板や椎間関節の負荷が増大し、従来よりも椎間板ヘルニアや狭窄症が生じやすくなる病態。

腰部、その他の病気での手術

腰椎開窓術

腰椎にすべりや不安定性のない腰部脊柱管狭窄症 (椎間孔狭窄*がない場合)に対し、狭窄椎間の椎弓の一部と椎間関節の内側の一部、肥大化した黄色靭帯を切除することで馬尾と神経根を除圧します。腰椎手術の標準的な治療です。

*椎間孔狭窄
脊柱管狭窄症は、厳密にいえば、脊柱管狭窄と椎間孔狭窄の2種類に分類されます。
関節の裏側に位置する場所に椎間孔があり、この部位での椎間孔狭窄も腰部脊柱管狭窄症と似たような症状を呈します。

後方進入腰椎椎体間固定術(PLIF)

腰椎変性すべり症、分離すべり症や腰椎変性側弯症に対して、神経の除圧とともに脊椎の安定化のため固定術を行います。開窓術では対応できない椎間孔狭窄にも対応できます。固定は椎体間骨移植を行い、金属製の内固定材を用いて確実な方法で実施しています。固定による症状改善も期待できるので除圧だけより有利ですが、この手術でも固定隣接椎間障害(上述)を誘発することがあります。

手術前
手術後

側方進入腰椎椎体間固定術(XLIF)

脊椎手術の多くは後方からアプローチしますが、この手術手技は腰椎の側方からアプローチします。椎体間に大きなケージを挿入することが可能で、変形を矯正したり、脊柱管内の神経を直接触らずに間接的に除圧して症状の緩和が期待できます。
当院では特に再手術時で神経の癒着が強い症例や変形矯正が必要な症例、多椎間の椎体間固定が必要な症例を適応としています。

経皮的椎体形成術(BKP)

胸椎、腰椎の圧迫骨折に対して、全身麻酔下で経皮的にセメントを注入し安定化させる小侵襲手術を施行しています。ただし、適応を十分に検討した上での実施になります。

手術前

脊椎圧迫骨折によってつぶれてしまった椎体

手術後

椎体の中に入れた風船を徐々に膨らませ、つぶれた骨を持ち上げて、骨セメントを充填します。骨セメントは手術中に固まります。

鏡視下手術

椎間板ヘルニアに対しては原則内視鏡を用いて施行しております。20mmほどの切開で手術が可能です。
従来の髄核摘出術や顕微鏡下手術と同様、後方からアプローチして神経根を圧迫している髄核組織を取り除く手術です。

鏡視下手術

突出しているヘルニア。
神経を圧迫し、痛みやしびれなどの症状が発生しています。

鏡視下手術

直径16mmの術野カメラから覗いたヘルニア病巣。少し上には神経根も見えます。

鏡視下手術

ヘルニア摘出後。
神経根は丸みを帯び緊張が緩和されていることが分かります。

<リハビリテーション>
基本的には手術の次の日に離床し早期から経験豊富な理学療法士のもとリハビリを開始することができます。手術前にも担当の理学療法士が患者さまの状態を評価しますので、術後のリハビリがスムーズに行えます。

外来診察

脊椎外来初診はすべて、地域医療連携による予約制になっております。

外来担当
水曜日 金曜日杉浦 剛

認定施設

日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科専門医基幹研修施設

スタッフ体制

医師名役職専門資格
杉浦 剛すぎうら つよし
  • 整形外科医長
  • 兼 脊椎センター長
  • 脊椎外科
  • 医学博士
  • 日本整形外科学会専門医
  • 日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
  • 日本脊椎脊髄病学会指導医
  • 脊椎脊髄外科専門医

連携医療機関の先生方へ

当科では、平成21年7月1日から専門とする手術をできるだけ多くの方に満足して受けていただくことを目指して完全予約制とさせていただいております。患者さまをご紹介いただきます際には、当院の地域医療連携室にて「予約」を取得してくださいますようお願いいたします。ただし、外傷や急な症状増悪など、急を要する場合は、連絡いただければ迅速に適切な対応をいたします。

なお、医療従事者向け会員登録サイト「m3.com」内にも当センター紹介記事を掲載しています。
下記URLよりご参照ください。(※閲覧にはm3会員IDでのログインが必要になります)
https://renkei.m3.com/articles/157

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