鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血(悪性貧血)、再生不良性貧血、溶血性貧血などがあります。

鉄欠乏性貧血
日本の成人女性の約一割がこの病気であると言われており、病気や生理、出産、栄養不足、胃腸での鉄分吸収に問題がある場合に起こりやすい疾患です。
【治療法】
貧血の原因を究明したうえで、まずその疾患を治療しますが、貧血そのものの治療は、比較的長期間の鉄剤内服(内服不可能なら注射)となります。完全に直しきっておくことが大切です。

ビタミンB12欠乏性貧血(悪性貧血)
赤血球生成に関与する赤芽球が、ビタミン不足で細胞分裂を阻害され、巨赤芽球という、未成熟な赤芽球が増加して赤血球生成ができず(無効造血)に貧血になるものです。
【治療法】
胃病変を合併していたり、胃全摘後に生じるケースが多く、ビタミンB12の吸収障害が原因です。まずビタミンの補給を行い、後に鉄剤服用を併用します。胃の定期検診をお勧めします。

再生不良性貧血
種々の原因で骨髄造血機能が低下し、赤血球、白血球、血小板生成が阻害されるものです。
【治療法】
かつてはタンパク同化ステロイド剤を投与するしかありませんでしたが、近年は免疫抑制剤や、白血球や赤血球を増やす造血サイトカインも使用します。重症の場合は、骨髄移植の適用を考える必要があります。

溶血性貧血
赤血球が種々の原因(抗体など)で破壊され、その寿命が著しく短縮してしまい、貧血を生じます。赤血球や血色素自体の先天的な原因によって生じるケースもあります。
【治療法】
免疫的な原因によるものは、副腎皮質ステロイド薬の投与が第一選択薬で、大半は改善します。これが無効の場合には、シクロホスファミド(エンドキサン)やアザチオプリン(イムラン)などの免疫抑制薬が使われます。
遺伝性球状赤血球症やピルビン酸キナーゼ欠乏症などの遺伝性溶血性貧血では、脾臓を摘出することによって貧血が改善することがあります。
急性白血病、慢性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などがあります。

急性白血病、慢性白血病
白血病は、俗に”血液のガン”ともいわれ、かつては不治の病というイメージの強い疾患でしたが、1980年代以降には、骨髄移植療法が確立されたこともあって、治療成績は大きく改善しました。
骨髄などの造血組織内で、悪性化した細胞群(クローン)が無制限に増殖し、正常の造血ができなくなって、感染や出血により死亡することが多い疾患です。
【治療法】(急性白血病)
化学療法
抗がん剤を用いる治療方法です。 近年、作用の違う多種類の薬剤を組み合わせた、優れた治療法が確立されており、寛解(悪性細胞が一定以下に減少した状態)率の向上が得られていますが、治療による合併症対策(支持療法)の進歩に負うところも見逃せません。
造血幹細胞移植
悪性化した細胞を徹底的に殺す(total cell killing) ためには、大量の抗がん剤が必要ですが、血縁者(特に同胞)にHLA(白血球の型)適合の提供者(ドナー)がある場合には、骨髄細胞移植など細胞治療法を選択する場合があります。 骨髄を入れ替えてしまう究極の化学療法ですが、提供者の細胞による残存したガン細胞への攻撃も期待できます。拒絶反応とのバランスをコントロールすることが肝要です。
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【治療法】(慢性白血病)
慢性骨髄性白血病特有の異常遺伝子による発症メカニズムが解明されてから、分子レベルでの発症をくい止める薬剤(イマチニブなど)が開発されており、比較的副作用も少なく、第一選択と認識されるようになりました。 (分子標的療法)
従来のインターフェロンを中心にした治療よりも有効ですが、薬剤が効かなくなってきたりするケースでは、骨髄移植の適用です。慢性リンパ性白血病は、日本人には比較的珍しい疾患ですが、条件が悪いケースでは抗がん剤の適用があり、有効な薬剤も数種類開発されています。

悪性リンパ腫
悪性リンパ腫も、”血液のガン”の一つであり、リンパ組織を構成するリンパ節をはじめ、体中のいたるところ、から発症する可能性があります。初発部位や、悪性(ガン)化した細胞の種類、患者さん個人の条件(年齢、病気の広がり具合など)によって予後も変わり、治療法を考えていかなくてはなりません。抗ガン剤がもっとも有効なガンとはいえると思います。
【治療法】
複数の薬剤を組み合わせた抗腫瘍剤による化学療法が主体ですが、病気が限局している場合は放射線や外科的切除も考慮します。細胞の種類によっては、抗体療法といって、ガン細胞を集中的に攻撃する薬剤も使用でき、これにより治療成績の向上が得られています。年齢が若く、病気が進行してしまっていても、薬剤反応性が良好なケースには、大量化学療法併用の”自家末梢血幹細胞移植”を積極的に行っています。

多発性骨髄腫
これも血液癌の一種ですが、進行は緩慢であり、検査だけ異常で無症状な段階がかなり長い時期続く場合が結構多いのです。文字通り、骨髄を病変の主体として、リンパ球の一種で、免疫グロブリン(外敵から身を守るため存在する抗体)を産生する形質細胞のガン化により、M蛋白といわれる異常な単一成分が血液中に出現することで気づかれることがあります。多くの外敵と戦わねばならず、多様性が命であるはずの免疫系が破壊されてしまうので、体の抵抗力が落ちていきます。また、骨を弱くするので、年齢不相応な骨粗しょう症、病的骨折(簡単に骨が折れる)などがおこり、骨の痛みがでてきます。異常な蛋白が腎臓に詰まると腎不全に陥ることもあります。痛みや貧血などの症状があれば積極的な治療が必要です。
【治療法】
従来の抗ガン剤に加え、インターフェロン、ボルテゾミブ(蛋白合成を抑える)や、最近ではサリドマイドも使用できます。骨痛に対しては、骨密度を増加させるビスフォスフォネートや、放射線照射も適用があります。
若年例では、大量化学療法併用の自家末梢血幹細胞移植の適用もあり、標準的治療となっています。
骨髄異形成症候群(骨髄機能不全で、白血病に進展するケースがある)血小板減少症(紫斑病)、真性多血症や血小板増加症などの骨髄増殖性疾患などが、よくみかける血液疾患です。